コレクションのその先に

INSTINCTOY

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 2014年5月28日更新

INSTINCTOYの店内

 ものを集めるのが好きだ。僕の場合は、カメラとレンズ。でも、コレクターという領域には達していない。まあ、金銭的な理由というのが大いにあったりするのだが。
 先日、「長浜に素敵なフィギュアショップがある」と読者の方から情報をいただいた。オーナーは大のおもちゃコレクターだという。お店の名前は「INSTINCTOY」。いわゆるアートトイと呼ばれるジャンルのフィギュア・おもちゃを扱うショップだ。
 住宅街の一角に建つ洒落た建物。「いらっしゃいませ」と笑顔で迎えてくれたのはオーナーでデザイナーの大久保博人さんだ。店内は半地下になっていて、アートトイの他、子ども向けのおもちゃや雑貨などもディスプレーされている。アートトイというと、なんだか大人の趣味の世界で敷居が高いような気がするが、最近では、出産祝いでの利用も多いそうだ。
 目を引くのが「オーナーズショーケース」。大久保さんがこれまでに集めたコレクションがびっしりと並ぶ。この中に並んでいるおもちゃは当然非売品。大久保さんは正真正銘のコレクターなのだ。

大久保博人さん

 INSTINCTOYが長浜にオープンしたのは2010年のクリスマス。しかし、その起源は10年ほど前に遡る。幼い頃から美術に興味を持っていた大久保さんは、高校卒業後、東京芸術大学入学を目指して上京、3年間の浪人生活を送ることになる。その間に、趣味で集めていた様々なフィギュアや食玩などをレンタルショーケースで販売。そこそこの売り上げを出すようになり、さらにインターネットのオークション販売に移行。そして、2005年にネット販売を中心としたINSTINCTOYの設立に至る。2008年には、INSTINCTOYオリジナルのフィギュア「inc(インク)」を発売。
 「inc」は、おもちゃが大好きでコレクターでもある大久保さんが、自分が納得できるものをつくりたい、自分の世界観を表現したいと取り組んだ力作だ。しかし、いざフィギュアをつくろうにもフィギュアづくりは全くの素人。単身中国に乗り込んで、工場と交渉するなど試行錯誤を繰り返した。その制作過程は逐一ブログで公開しファンが急増。期待が高まる中、incファーストロットは瞬く間に完売し、アートトイ界で確固たる地位を築いた。その後もオリジナルフィギュアを多数展開し海外でも人気を博している。
 「フィギュアの後ろにあるストーリー設定を大切にしている」という大久保さん。例えば、incはクマをモチーフにしたキャラクターだが、背中に浸触したLIQUIDというモンスターのせいで頭はツンツン、体はドロドロになってしまったという設定だ。「incがこのあとどうなってしまうのか、それはこのフィギュアを手に取ったお客さん一人ひとりに考えてほしい」と話す。
 残念ながらオリジナルフィギュアは限定販売なので、なかなか店頭では手に入らないけれど、ぜひ一度お店を訪れて、大久保さんのコレクションの世界を味わってほしい。

INSTINCTOY(インスティンクトイ)

滋賀県長浜市八幡中山町275-5
営業時間 11:00〜19:00 / 水曜日定休
TEL: 0749-68-2011

http://www.instinctoy.net/

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

編集部

スポンサーリンク