チョークアートで彩る

Yukiさん

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 2013年9月13日更新

Yukiさん

 Yukiさんの描くチョークアートは温かくてやさしくて美味しそうなのだ。長浜を拠点に活動するYukiさんの作品が今、湖北の街並みを彩りつつある。
 このオーストラリア発祥のチョークアートは、黒いボードにオイルパステルと呼ばれるクレパスのような画材で鮮やかに描くことが特徴だ。欧米諸国の飲食店では看板やメニューボードとしてよく用いられているが、近年日本でもアートの分野として注目されている。
 普段は長浜市元浜町にあるcafe VIVI & JAMの店主をしているYukiさん。子どもの頃から絵を描くのが好きで、26歳の時にカフェを開業してからも趣味で水彩画などを描いていたそうだ。そして数年前、テレビでチョークアーティスト熊沢加奈子さんのチョークアートを見かけ「ビビビと来た」のだという。これと決めたら即行動派のYukiさん。居ても立っても居られず早速材料や資料を揃えに走り、翌日には最初の作品を描き始めていた。
 最初は自分の店に置くメニューボードや友達のプレゼントにと趣味で描いていたのだが、口コミで評判が広まり依頼が来るように。色あせ防止や防水加工をすることで屋外でも長持ちするため、今では飲食店の看板やメニューボードはもちろん、結婚式のウェルカムボードなどの依頼もよく来るそうだ。

 描くのはお店が休みの日や営業が終わってから。疲れないですかと尋ねると「楽しくて気づいたら8時間ぐらい没頭して描いていることもあります。カフェでは人と接する時間が多いので、逆に一人で黙々と描く時間が自分にとっては楽しくて、全然疲れませんね」とのこと。現在はその他にもイベントに出向いてワークショップを行い、チョークアートの普及にも取り組んでいる。
 自宅の一室にあるアトリエで作業を見せてもらった。やすり状になっている黒いボードにオイルパステルを使って油絵のごとく薄い色から順に塗り重ねていくのだが、油絵と大きく違うのは絵筆を使わず指で色を馴染ませるところ。Yukiさんは表現したい質感に合わせて右手の4本の指を使い分けながら絵を仕上げていく。
「線を描いてその中に色を塗るやり方では絵に見えてしまうので、より本物の質感に近づけるよう、色の隣に色がある感じを大切にしています。でもリアル過ぎては写真と同じなので、食べ物だったらソースの照りやアイスクリームの冷気など、写真よりも質感があって  絵やのにおいしそう  と言ってもらえるような絵を目指しています」とのこと。

 アトリエの隅には小学2年のYukiさんが将来の夢について書いた作文の写しが貼られていた。そこには「大きくなったらえかきさんになっていろんな絵をかいて…」と書かれている。「まさか夢が叶うとは。嬉しいですね」とYukiさん。
 今の夢はと聞くと「アトリエで描くのではなく、現場に行って壁とかに直接描くのが夢です。その場の空気を感じながら大きなスペースに描いてみたいですね」と話してくれた。
 Yukiさんの絵がどんどん街に広がり、暮らしを彩ってくれることを楽しみにしている。

れん

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