グラスの中の湖岸の風景をいつか見たいと思った

冨居邦子さん

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2010年5月31日更新


グラスに砂の粒を注ぐ冨居さん

 ハーブや果樹、緑に囲まれた庭のなかに冨居邦子さんの工房はある。さまざまなガラス容器が並んでいる。「グラスサンドアート」と呼ばれる冨居さんの作品である。グラスサンドアートは、サンドと呼ばれる砂状の粒で描いた模様や風景をガラス容器のなかで表現するアートだ。サンドにサボテンや観葉植物を植えることもある。
 冨居さんは5年ほど前にグラスサンドアートに出会って以来、こつこつと作品を創ってきた。ビビッドな色合いで鮮やかな海や牧歌的な田園風景を表現したものが多いのは、海と山が好きだという冨居さんの理想の世界が表現されているのだろう。

冨居さんのグラスサンドアート

 頭の中で描いたイメージに従ってサンドをグラスのなかに「落としていく」。サンドの量や構図は勘だけが頼りだ。ガラス容器はワインやシャンパングラスのような円が多い。理屈は解るのだが、風景や模様がどうやってガラス面でつながっていくのか…バランスをとりながら一周するのか……。説明を聞いても、実際に制作過程を見せていただいても、よく解らない。「そんなに難しくはないんですよ」と言われるが、未だに不思議である。
 冨居さんは手仕事において多才な人だ。織物や籐工芸などこれまでにさまざまなものに凝ってきた。「ひたすら同じことを繰り返す作業が好きで苦にならないんです。無心になれるというか…。でもパーツがいろいろあるのは大の苦手です」と話す。色を変えながらするすると落としていくサンドは、各色がパーツなのではなくて、無心になれる作業なのだ。

 いつか描いてみたいのが、彦根の松原あたりから長浜を見た湖岸の風景だという。
 「あれをしよう、これをしたいって言葉にすることで実行できることがあるんです。今までずっとそうやってきたような気がします。好きで始めてきたことは途中であきらめないんですよ。今は、色であったり構図であったりなかなか納得がいかないんですが……」。
 サンドというもろく崩れやすい繊細な世界だからこそ、ガラス面に現れる風景は、納得のゆくものでなければならない。無心の果てにたどり着く場所でもある。
 グラスの中の湖岸の風景をいつか見たいと思った。

工房「夢織工房 しゃんない」

滋賀県彦根市新海浜1-8-6
TEL: 090-3356-2580

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

いと

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