湖東・湖北の「馬」

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 長浜市 米原市 東近江市 2014年1月24日更新

2014年は午年。湖東・湖北の「馬」にちなんだ史跡・名勝を紹介したい。

馬上・天皇の水

「天皇の水」石碑の右側を行くと天皇の水が湧き出ている。

 「馬上」は「まけ」と読む。長浜市高月町にある大字だ。2014年は午年、僕が真っ先に思い出したのが、この難解な読み方をする「馬上」だった。
 馬上の集落の外れに「名水・天皇の水」という湧水がある。高月町の昔話によると、徳川時代の初め、馬上の伍井という人の跡取り息子が、原因のわからない病気にかかった。いろいろ手を尽くしても良くならなかったが、母親が、夢の中で「北馬上在の谷の東北の岩の間から美しい清水が湧き出ている。その水を、夜丑の刻に汲んで飲ませる行を百日続けなさい」というお告げを聞いた。
 これこそ真の神仏のお助けにちがいないと、両親はすぐ場所を探し、息子に清水を飲ませ続けたところ、百日目に、一丈(約3メートル)余りの白衣白髪の仙人が現れ「よくぞ百日の行を続けた。御神助間違いなし」と言い残し、山頂の闇の間に消えていった。そして、百日目の水を与えると、あれほど重かった息子の病気も日に日によくなり、以前にも増して健康な体になった。
 その水の湧き出る地先(番地のない土地)を、「テンオー」といったが、「日本で一番お偉い方は天皇様だ」と、名をお借りして、「天皇の水」と名付けた。以来、人々の臨終前に天皇の水を与えると、極楽往生が出来るといわれるようになったという。
 犬上郡多賀町萱原には二丈坊という名前の妖怪がいるのだが、「一丈余りの白衣白髪の仙人」を、一丈仙人としてデビューさせたいと、12年前にも思った次第である。 

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