佐和山遊園のこと
実は、僕は国道8号線佐和山トンネルの近くにある「佐和山遊園」が近頃随分気に入っている。最初は「なんだかなー」と思っていたが、実際に訪れてみると素晴らしいのである。
偽物といってしまえばそれまでだが、実に、自由奔放に石田三成時代の佐和山を再現しているのだ。造形物は長い歳月をかけて増殖していったのだろう。過去のものほど劣化し崩れているが、かまいもしない。新しいものに次々挑む。その奔放さに僕は憧れる。
建物は別にしてひとつひとつ丹念に見ていくと、2種類の造形があることに気づく。リアルなものとそうでないもの。
僕は、そうでないものを気に入っている。比率を無視し歴史的な造形を逸脱、或いは、わざとのように無視し、それでいてそれが何であるかが判る。佐和山遊園にあるから注目する機会を失っているのではないか……と思っている。
春、僕は多分、幾度となく佐和山遊園を訪れるだろう。あの何ともいえない空間が、どんな風に変わっていくのか楽しみでさえあるのだ。
【小太郎】