初詣・仙人を探せ! 2

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 2013年12月31日更新

 社寺には様々な彫刻がある。霊獣は美しく迫力があり、みとれてしまうことも多い。時々、仙人だろうなと思う彫刻に出会っても、名前やどんなシーンなのかも判らない。多分、少し前までは大抵の人々が知っていて、親から子へ語り継がれていたのだろうが、全く途切れしまった。
 今年、近江八幡の日牟禮八幡宮の山門に仙人が何人も彫られているのを見つけたので、仙人のプロフィールを調べてみることにした。同じ仙人でも社寺によって異なるシーンが描かれていたりするが、その人と判る特徴が彫り込まれている。そこに生きた人々が託した願いのカタチである。来年の初詣は、仙人を探してみてはどうだろう。

黄安(こうあん)

 通称を亀仙人、亀乗り仙人という。鳥山明の漫画『ドラゴンボール』の亀仙人は、武天老師と呼ばれる武術の達人で、「かめはめ波」を編み出した人物だが、寺社の彫刻にあるそれは、前漢・武帝の時代の仙人である。3尺もある亀に乗っていたといわれている。その亀は3000年に一度しか首を出さず、ある人が黄安に「今までに何回頭を出したか」と尋ねると「五回出したよ」と答えたという。

王子喬(おうしきょう)

 伝説によると、若くから才能豊かで、笙(しょう)を吹くのが上手く、まるで鳳凰が鳴くかのような音を奏でたという。ある時、王子喬が鶴に乗って飛び立ち帰らなくなり、30年後に現われ、再び飛び去った。鶴に乗って昇天したといわれる。
 王子喬と共に鶴が描かれるが鶴仙人という別名はなさそうだ。ちなみに、『ドラゴンボール』の鶴仙人は、亀仙人の武術のライバルである。

琴高(きんこう)

 中国・周代の仙人で、仙術を使って800年生きたと伝わる。琴の名手で、ある時「龍の子を捕らえて見せる」と弟子たちに約束して川の中に入り、約束の日に大きな鯉に乗って現れ人々を感嘆させた。故事人物画の画題としてよく使われる。
 立身出世の関門を「登龍門」というが、「龍門」は中国黄河の上流にある急流で、ここを遡ることのできる鯉は龍になる。鯉は龍の子ということを人々は知っていたということである。

 日牟禮八幡宮の彫刻のなかで一人、僕には判らない仙人がいる。勝手に名付けるとしたら、波乗り仙人。どなたかご存知の方がおられたら教えていただけないだろうか。

 仙人は人間だから、神様や仏様より僕らには付き合いやすく身近な気がする。来年の初詣では、仙人様にも願いを打ち明けてみてはどうだろう。

雲行

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