おさんぽで伊吹の魅力を発見

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 米原市 2013年9月28日更新

 月はじめの日曜日の朝。清々しい空気が漂う中、伊吹山の麓である米原市伊吹にぽつりぽつりと人が集まってくる。今日は月に1度の「伊吹おさんぽくらぶ」の日だ。
 世話人として、このくらぶを主催するのは伊吹在住の膽吹(いぶき)憲吾さん(28)。伊吹生まれ伊吹育ちの膽吹さんだが、平日は市外へ通勤しているため、なかなか地元のことに関わる時間を持てないことにジレンマを感じていたそうだ。そこで、働きながらでも地元で継続的に何かが出来たらと昨年4月に始めたのが「伊吹おさんぽくらぶ」だった。
 なぜ  散歩  にしたのかと尋ねると、「伊吹で生まれ育った自分自身、あまり地元のことを知らないなと感じていました。また子どもが生まれたことで、地元の良さを子どもたちにちゃんと伝えられるようになりたいという思いも強くなっていました。私自身は集落の中で遊びながら育ってきたので、子どもたちにも伊吹の人や自然に囲まれながら育ってもらえる環境を作るために、歩きながら伊吹の魅力を発見していきたいなと思いました」とのこと。当初は一人で集落を散策してはその様子をFacebookで紹介していたそうだが、思いもかけず「いいね」の反応が届くようになり、よかったら一緒に歩きませんかと呼びかけたところ少しずつ人が集まるようになったのだという。

 くらぶの活動はいたってシンプルなお散歩である。膽吹さんの案内で伊吹を毎回違ったコースで約1時間かけて歩く。春は桜並木の下を、冬は雪景色の中を、秋は稲刈り前の田の間をと、四季折々の伊吹の風景を楽しみながら歩くのだ。このくらぶのいいところはそれぞれが自分のペースで楽しめるということ。小さな子どもを連れてゆっくり歩く人もいれば、おしゃべりを楽しみながら歩く人、写真を撮りながら歩く人、それぞれが散歩のために早起きしたこの1時間を自分の好きな楽しみ方で過ごすのである。そして散歩の後は皆で一緒に伊吹産の食材を使った朝ご飯を食べる。食事を囲むと自然と会話が生まれ、人の輪が生まれる。「歩く」「食べる」という誰もが気軽にできることを通して、そこに居合わせた人たちのつながりが自然と生まれていくのだ。

 膽吹さんにとって、このおさんぽくらぶで目指す夢がもう一つある。実は今年春、伊吹で行われるお田植祭の早乙女が足りず、おさんぽくらぶの参加者が助っ人として参加したのだそうだ。そのことを振り返り膽吹さんは「このくらぶを通して、外の人と地元の人をつないでいくことが出来たらと思っています。集落に若い人が少なくなる中、文化の継承や雪下ろしなどが難しくなってきています。移住人口は増えなくても、毎月の散歩を通して伊吹に愛着を持ってくれる交流人口を増せたらと思っています。だからこそお散歩は観光ではなく関係を作るイベントでありたいですね」と語る。
 休日の朝ちょっと早起きをして、いつもと違った朝のひとときを伊吹の麓で体感してみてはどうだろうか。

詳しくはFacebookページ「伊吹おさんぽくらぶ」をご覧ください。
問い合わせは 080-5313-1227(膽吹)まで

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

れん

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