映像でつながる人の物語

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 東近江市 2012年11月16日更新

 東近江市の永源寺図書館で、戦前の旧八日市尋常小学校の日々を記録した8ミリフィルムの上映会が行われた。企画したのは同市在住でNPO法人アートポリス大阪協議会滋賀支部の鋒山己之助さん。4年ほど前、映像の産業・文化・教育の振興で地域活性化を目指すアートポリスの活動に出会った。中でも世界ホームムービーの日(10月20日)に合わせ、家庭や地域に埋もれている名も無きフィルムを上映し皆で鑑賞する活動に興味を持ち、自らも地元の集会所や老人ホームで上映会を開催。懐かしい映像に刺激を受け普段あまりしゃべらないお年寄りが語りはじめ、その様子に普段そのお年寄りの世話をしている若者のお年寄りを見る目が変わり、地域の人同士の話の輪が広がる様子を目の当たりにした。
 鋒山さんは「昔、映画でもテレビでも映像は皆で観るものだったのに、最近は個人で観るものになってしまっている。ホームムービーに記録されているものはありふれた普段のことでも、観る人にとってはそこに物語がありドラマがある。それを上映することで観た人同士の物語をつなげて欲しい」と思っている。
 今回の上映会では新たな試みとして、八日市図書館に眠っていた昭和16年から18年ごろに旧八日市尋常小学校の映画部が作成し、その後平成2年に編集し直された映像を上映した。映像には、そろばん、習字、体育などの授業の様子、そして時代背景を物語る、奉安殿へ最敬礼する生徒の姿、神前朝礼、出征の見送り等が記録されていた。

 鑑賞後、10数名の参加者で車座になり座談会が行われた。口火を切ったのは、若かりしころの自分が映像の中にいたという80代の男性。映像に出てきたこと、そこから映像にない話まで涙ながらにそして嬉しそうに語られる様子に、世代も地域も違う参加者が一緒になって頷き笑った。そしてそれぞれの心によみがえるものを語りはじめた。
 特に印象的だったのは、匂いがよみがえったこと。冬、アルマイトのお弁当箱を腰に結わえつけて登校する。当時、教室の暖はストーブではなく四角い火鉢。周りに水を張って、その蒸気で部屋を暖めた。そしてその蒸気で弁当も温める。弁当の中味はみんなだいたい梅干しかたくわんか花鰹。アルマイトの蓋は錆びて穴が空いていた。このように何人かの記憶がリレーするように語られたところで、ある女性が、「そういえばお昼時には教室じゅうにそのお弁当のいろんな匂いが漂よってました」と語った。白黒だった8ミリフィルムが、語りによって色づけされ、さらに匂いまで蘇った。
 この上映会後、鋒山さんはさっそく図書館や教育委員会にこの映像の活用を呼びかけたそうだ。
 また現在計画中の小学生に好きなテーマで1分ムービーを作る総合学習の実施や愛知川ダム(現永源寺ダム)が出来るまでを記録した映像上映など、映像を通した地域づくりの今後が楽しみである。

お問い合わせ

NPO法人アートポリス大阪協議会滋賀支部  鋒山己之助(090-3618-5779)

ご家庭に眠っているフィルムをお持ちの方、活動に関心のある方、一緒に活動していただける方は一度ご連絡ください。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

れん

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