足軽として語る戦国

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 2012年6月18日更新

津田志保さん


 『歴女』……。ウィキペディアでは「歴史好きあるいは歴史通の女性を指す造語」とある。さらに歴史の何が好きかで細分化されるらしい。
 「大きくは、史跡・武将・甲冑などの武具装束・軍略などに分けられますが、たいていは複数の分野に興味を持っています。私はまず甲冑。自分が着るのも造るのも、着ている人を見るのも好きです。敬愛する武将は藤堂高虎です」。
 津田志保さんが教えてくださった。長浜戦国大河ふるさと博、「語り部(史跡案内役)」のひとりだ。歴女としてのキャリアは5年ほどになる。友人に影響され、自ら甲冑をまとい各地の戦国イベントに参加するようになった。昨年開催された「江・浅井三姉妹博覧会」で「歴ドラ隊」の一員に採用されたのをきっかけに岐阜市から長浜市に引っ越してきた。
 「歴ドラ隊」は、浅井家の歴史を演舞で紹介し、来場者をもてなす役割を担っていた。津田さんの大学の卒業論文のテーマは『戦国資産を利用した地域活性』だった。岐阜で産学連携のまちづくりに関わったこともある。藤堂高虎は甲良町出身の武将でもあり、領地の発展に尽くした築城の名手で、まちづくりともリンクする。
 以前から心にあった「まちを歴史で盛り上げたい」という思いが、「語り部」として実現しようとしている。
 「数年前に賤ヶ岳の頂上で地元の人にガイドしていただきました。『あの山から佐久間盛政が攻めてきてな……』と、まるで見てきたかのように話される方で、ものすごく引き込まれました。史跡に立ったときに必要なのは、歴史を思い起こせる想像力、妄想力ではないでしょうか。私はこの時、かつてこの場にいた人間がどんな格好でどうやって動いたかを伝えられるようなガイドをしたいと、思うようになっていました」。
 津田さんは自前の特注した甲冑を持っている。藤堂高虎の甲冑を参考にし「琵琶湖のほとりの武将」をイメージしたという。津田さんの「語り部」デビューはまだ少し先なのだが、甲冑装束で案内するのだろうか?
 「武将もいいですが、足軽をイメージした装束でガイドできればいいなと思っています。合戦の多数を占めたのは足軽ですし、わちゃわちゃと動き回っていたはず。楽しそうじゃないですか! そんな雰囲気も伝えたいですね」。
 歴女の語る戦国はさすがに奥が深い。津田さんに案内していただける日が楽しみである。きっと人気の「語り部」になるだろなぁと、足軽姿を想うのである。

 

賤ヶ岳での語り部ガイド

賤ヶ岳山頂にて10:30〜12:00、13:30〜15:00の間で30分おきに約20分。
12月2日までの会期中、無休。
お問い合わせ 賤ヶ岳合戦語り部の会  TEL: 0749-82-6312(受付 8:30〜17:00)

小谷城跡での語り部ガイド

バス・ガイド料金 500円
小谷山麓からバスで移動後史跡を案内。
バス運行時間 第1便9:30・第2便11:00・第3便12:30・第4便14:00・第5便15:30
7月20日までは毎土日のみ実施。以後12月2日まで荒天をのぞき無休。
お問い合わせ 戦国ガイドステーション  TEL: 0749-78-0300(受付8:30〜17:30)

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

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