ひこにゃん 田んぼアートから生まれた原酒

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 多賀町 2012年1月18日更新

社長の福元修さん(左)と監査役の中川信子さん

 彦根の荒神山のふもとにひこにゃん出現!昨年の夏から秋にかけて彦根市石寺町の田んぼに、稲で描かれたひこにゃんの絵が浮かび上がったのを覚えている。彦根市の市制75周年を記念した事業のひとつ「ひこにゃん田んぼアート」で、下石寺農業生産組合や滋賀県立大学の学生らが中心となり取り組んだ。
 田んぼアートは、稲の種類による色の相違を利用して、水田をキャンバスにモチーフを描き出す。今回、ひこにゃんの輪郭は黒紫色の「濃紫稲」、赤い兜は「赤もち」、白い体は「ゆきあそび」など珍しい品種も使われ、ひこにゃんをかたどったという。
 そして、秋に刈り取られた稲の一部は、多賀町の蔵元「多賀」が仕込んだ「琵琶の神龍(しんりゅう)」という日本酒に生まれ変わった。
 多賀株式会社社長の福元修さん(61)と監査役の中川信子さん(53)の話によると、ひこにゃんの絵柄の背景部分から採れた米80俵(約4800㎏)を使って生まれたお酒だ。「日本晴」という品種で、酒造りに適しているという。
 「琵琶の神龍」のラベルを見ると原酒と記されている。ふつう日本酒は搾った後に水を加えてアルコール度を下げるように調整するのだが、加水しない日本酒のことを原酒という。そのため、通常のアルコール度15〜17度に比べ、原酒は18〜20度程度になる。琵琶の神龍は19度だ。

ひこにゃん田んぼアート

 「原酒は水を加えない分、風味が濃厚です。絞りたてを加熱処理もせず出荷しているので、フレッシュですっきり辛口な飲み応えになっています。昨年は天候に恵まれたため米も良質でした」と教えてくださった。
 日本酒の味の決め手は米と水と言っていい。芹川のほとりにある多賀株式会社では、鈴鹿山系の伏流水を使っている。硬度が高く、ミネラル分が多く含まれているのが特徴だ。そのミネラルが、発酵に不可欠な酵母に活力を与えるのだという。酵母は、麹の力で米を糖化させた糖分を食べてアルコールを出す、大きな役割を担っている。
 「琵琶の神龍」という名前には、母なる琵琶湖を抱く大地で育ったお米を使ったお酒であること、そしてこの地で愛されてほしいという思いが込められている。「大地に描かれたひこにゃん米の記憶を、お酒という形で残せたことを喜んでいます」
 2012年の干支は龍。新年を祝うお酒にもぴったりというわけだ。

多賀株式会社

滋賀県犬上郡多賀町中川原102 / TEL: 0749-48-0134
営業時間  8:30〜17:00 / 定休日 土・日曜日

琵琶の神龍 720ml 1,000円(限定2,300本出荷)
多賀株式会社のほか、酒販店でも取り扱っている。
http://www.sakenotaga.co.jp/

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

椰子

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