ほたてあかりがつなぐ、東北と滋賀

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2011年12月28日更新

 宮城県本吉郡南三陸町歌津田の浦地区。滋賀県立大学の学生である私たちが、はじめて訪れたのは8月のことだった。以来、毎月2日間ほど田の浦を訪れている。
 田の浦は世帯数約100戸、人口約400人の集落。特にホタテ・ホヤ・ワカメの養殖は近辺でも屈指の漁獲高を誇り、17世帯が漁業で生計を立てていた。養殖業は一家総出で行われる。女性たちも海に出てワカメを刈り、港でホヤをもぐ。しかし、養殖業の本格的な復興には数年かかるといわれており、それまで女性たちは働く場を失った。
 秋晴れの10月、チューリップの球根を持って行った。海水を被った土を、田の浦のお母さんたちと一緒に耕し、球根をひとつずつ植えていく。穏やかな海を眺めながら、ひと休み。「仕事が趣味のように働いてきたからっさぁ、こういう風に時間が出来ても、遊び方が分かんないのね」。お母さんたちがぽつりと言った。

 滋賀への帰り道、一緒に行ったメンバーは話し合った。仮設住宅という場所はある。しかし、ただ集まってお茶を飲むのは、働き者のお母さんたちも居心地が悪いだろう。何か皆で集まって作業でもしながらワイワイ話す方がいいのではないか。材料にコストがかからず、道具や技術に特殊なものが要らない、そして少しでも売れるようなものを作れれば生活の足しになる。
 そこで出てきた案が、養殖用にストックされ現在使い道の無いホタテの貝殻と、滋賀のお寺で出る和蝋燭の残蝋を使ったリサイクルキャンドル作りだった。
 それから2ヶ月間、大学でメンバーを募り、15人が材料集めや商品開発を行った。そして、田の浦のお母さんたちとも相談して誕生したのが「ほたてあかり」である。
 「ほたてあかり」のお披露目の日、火を灯すとお母さんたちが「素朴な感じがさぁ、田の浦らしいよね」と言った。
 震災復興支援商品「ほたてあかり」の本格的製造は12月から始まった。毎朝9時には皆仮設住宅に集まり作業が始まる。玄関には所狭しと長靴が並んでいる。「まだ、早いんでねぇか?」「大丈夫だいっちゃぁ」「ほら、上手く出来たぁ」「今朝、アンコウ獲れたってよぉ。とうちゃんが言ってたぁ」。6畳2間と台所に10人ほどの女性たち。浜の女性の働きぶりは、見とれるほどのスピードである。会話が飛び交い、今まで見た中で一番いきいきとした笑顔がある。

 「ほたてあかり」には、ひとつひとつメッセージが書かれている。買ってくれる誰かを思って、お母さんたちがひとつひとつ考えながら書いている。二枚貝のホタテ。もう一枚の貝殻には、買ってくれた人がメッセージを書いて、田の浦に送り返すことができる。
 はじめて「ほたてあかり」が売れた日、お母さんたちに電話をした。たくさん売れたことに対する第一声が「何個売れたの」ではなく「どんな人が買ってくれたの?」だった。
 「ほたてあかり」が、遠く離れていても、田の浦のお母さんたちと買ってくれた誰かの心をつないでいって欲しい、そう願っている。

滋賀県立大学院 人間文化学研究科 地域学研究室 山形 蓮

 

震災復興支援商品「ほたてあかり」

お問い合わせ先
TEL: 090-4279-6814(山形)FAX: 0749-28-8621

田浦ファンクラブ 応援ショップ(オンラインショップ)
1個  500円・5個1セット(送料別途)

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

編集部

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