映画「一命」と「ぐい呑」

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2011年10月24日更新

世戸紀代美さんのオリジナル作品はしょうぶ屋(彦根市河原1-3-1・TEL: 0749-22-8613)で販売している。

 今、彦根のまちでは『映画「一命」彦根大ヒットに一命を賭す会』の活動が盛り上がっている。記事「映画『一命』 彦根大ヒットに 命を賭す会」でも紹介したが、この会は、現在公開中の映画「一命」にあわせた、『彦根を映画で盛り上げる会』の現在のミッションである。
 『賭す会』では、「一命」の撮影に使われた甲冑の展示会や、「一命」の時代を知るワークショップを開催してきたほか、お菓子やお酒など映画オリジナルグッズも企画・誕生させている。会のメンバーである再興湖東焼の陶芸家・世戸紀代美さんが手がけた「一命ぐい呑」もそのひとつだ。
 桐箱に入った器は、マットな黒色。器の底には、シルクスクリーンで本金をのせた「一命」文字がある。
 「再興湖東焼は信楽の土などを使っているのですが、今回彦根にちなんだ映画ということで、彦根の土を2割ほどまぜて使っています。黒という色については、映画を見て抱いた印象です。男同士の、重い、張り詰めた空気をイメージしました」。

一命ぐい呑

 大阪出身の世戸さんは陶芸を始めて17年になる。美大を出た後、ファッション関係のデザインに携わってきた。いったんファッションデザインから離れたのをきっかけに、流行にとらわれないものづくりをしたいと、陶芸を始める。11年前に彦根に移り、再興湖東焼の窯で、オリジナルの陶器を作り続けてきた。
 「彦根に来たときから、単に陶器を作るのではなく、彦根という土地と関わりながら発信できるものづくりをしたいという思いがありました。作るだけではなく、地元の小学校でも再興湖東焼を教えていて、地域の文化を伝えられればと考えています。映画を通じて彦根を盛り上げる、そのひとつとして一命ぐい呑を作ることは、私のものづくりの思いにつながることでした」。
 映画では、自分の信じる「正しい」生き方を貫くサムライたちが描かれている。
 「役者さんの演技に引き込まれました。浪人・津雲半四郎(つくもはんしろう)を演じる市川海老蔵さんと役所広司さん扮する井伊家家老・斎藤勘解由(さいとうかげゆ)のかけひきが素晴らしいですね。また、井伊家の甲冑など小物にも凝っていて、細部まで見所があります。ぐい呑は、お酒を入れると一命の文字が浮かびあがってきます。映画を見た後、一命という言葉の意味を考えながら、この器でお酒を飲んでいただければうれしいです」。
 日本酒「金亀一命」と共に……、長い夜の一日は、深いお酒になりそうである。
 ちなみに、『映画「一命」彦根大ヒットに一命を賭す会』では、ロードショー期間中に、2回目のワークショップ開催を予定している。問合せは『彦根を映画で盛り上げる会』 TEL: 0749-24-8781まで。

 

映画「一命」

三池崇史監督・第64回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品「一命」は、彦根ビバシティシネマほか、全国松竹系映画館で公開中。
時代は井伊家第二代直孝公の頃。舞台は彦根藩江戸屋敷。関ヶ原合戦や歴史の流れを知っていれば、実に面白い。千々岩求女(ちぢいわもとめ・瑛太)の切腹シーンは正視していられないほどの熱演。雲半四郎(つくもはんしろう・市川海老蔵)のラストシーンは、原作を離れて「なるほどそういうことだったのか」と納得させられ、実にかっこいい。
『彦根を映画で盛り上げる会』は将来、彦根オールロケの映画が世界で放映されること(映画撮影誘致)を夢見、活動を始めた団体である。彦根に関係する題材の映画ならば、全面的に協力するという。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

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