河童のはなし その1

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2011年7月28日更新

江畑俊一さん

 夏になると、妖怪の話で盛り上がる。夏休みの終わり8月23日に、ひこね市文化プラザで「瓶ヶ森の河童(しばてん)」の公演があるせいか、特に今年は水辺の妖怪「河童」が話題になることが多い。シバテンとは四国、特に高知県での河童をそう呼ぶ。実は、河童は標準語で、日本国中に情報が共有される以前は、地方ごとに独特の呼び方があった。滋賀県では、「ガタロ」「ガッタ」「ガワタ」「ガワタロ」など。
 大きな台風が来る前、河童について江畑俊一さん(80歳)と話した。江畑さんは河童深沙大将(じんじゃだいしょう)なのだという。
 深沙大将は、仏教の守護神の一人で、玄奘三蔵が砂漠を渡りインドへ行く途中、守護した鬼神と伝えられる。忿怒の相をし、全身赤色、1面2臂(ひ)、腹に人面をあらわし、髑髏(どくろ)の瓔珞(ようらく)をつけ、持物については一定しないが、蛇や戟を持つものがある(参考広辞苑)。美濃の横蔵寺、舞鶴の金剛院、福井県・明通寺、香川・弥谷寺、和歌山(高野山)・金剛峯寺などに彫像がある。
 江畑さんは、第二次世界大戦終戦を舞鶴へ赴く直前に迎えた。予科練特攻隊である。深沙大将を「西遊記」にあてはめると、沙悟浄(さ ごじょう)である。砂漠、熱風、旅の守護神というイメージが魅せるのだろう、江畑さんは「西遊記」は、今も昔も世の中そのものだと振り返る。1978年「西遊記」の放映をきっかけに、深沙大将の彫像を観てまわり、資料を集め研究し、自分なりの沙悟浄感と深沙大将との関係に結論を得た。
 僕は、江畑さんが集められた深沙大将の写真と資料一式を譲り受けることになった。河童の沙悟浄と深沙大将のイメージは随分と異なっている。
 「沙悟浄は玄奘三蔵との旅で、何を悟ったのでしょう」と問われた……。「西遊記」を「悟空の大冒険」のアニメと1978年の「西遊記」でしか知らない僕は江畑さんの問いに、妖怪好きとしては「西遊記」をちゃんと読んでみなくてはならないなと思った。確かに、牛魔王、羅刹女、金角大王、銀角大王など派手に妖怪が登場するし、深沙大将として「般若経」の守護神となった沙悟浄を知りたい。沙悟浄の名に「悟」の文字がある。 気になり出したら他ごとを忘れるたちである。一刻も早く何とかしなくてはと思っている。
 僕は河童が縁で江畑さんとお会いすることができたのだが、博識で地域のことを深くご存知だった。江畑さんから学ぶことがまだまだありそうである。沙悟浄は何を悟ったかも、「何ですか?」と聞いてしまえば済むのだが……。夏休みだから、自分で解る努力をしようと思う。江畑さんかそうしてこられたように。

ミュージカル「瓶ヶ森の河童」

日時 8月23日(火) 17:30開場18:00開演
会場 ひこね市文化プラザ グランドホール
大人3,000円、子ども1,000円、大人+子ども3,500円
お問い合わせ 090-4287-7738(「瓶ヶ森の河童」彦根公演実行委員会)

チケット取扱
ひこね市文化プラザ、ひこね市民活動センター、彦根市男女共同参画センターウィズ、ビバシティ彦根・アルプラザ彦根サービスセンター

 

雲行

スポンサーリンク
関連キーワード