夏を快適に過ごす
籐敷物 さらさら、すべすべ、ひんやり

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 2011年7月15日更新

夏原籐製作所のギャラリー

 長浜のまちなかを歩いていたとき、不思議なギャラリーを見つけた。店内には籐の敷物がディスプレイされ、中央の敷物に腰掛けることができるスペースがある。尋ねてみると籐製品を体感するためのギャラリーなのだという。腰掛けてみると、さらさらすべすべの感触が気持ちいい。靴を抜いで寝転んでしまおうかと思った。そういえば真夏には板の間の冷たいところを触って昼寝してた。ぬるくなると場所を変えたりして……。籐はもっとひんやりしている。誘惑はあったが、さすがに私は大人だから、べたべたと場所替えなどしない。
 ギャラリーは、県内でも珍しい籐の敷物の製造・販売をしている「夏原籐製作所」が営んでいる。
 「60数年前に祖父が籐の乳母車を作って販売したのが始まりです。今は敷物を専門に取り扱っています」と三代目の夏原健司さん(37)が教えてくださった。

三代目の夏原健司さん

 籐はヤシ科のつる植物で、原産は東南アジア。敷物のほか家具にも使われ、ラタン家具ともいわれる。ヨーロッパでは古くから籐製品が使われ、日本へは江戸後半に籐製品の技術が伝わったとされている。夏原籐製作所はインドネシアに加工工場をもち、仕上げを長浜の工場で行っている。
 籐敷物は大きく分けて2種類。よく温泉の脱衣所などで見かけるのが「むしろ」で、籐を3〜4分割したものを並べつなぎあわせている。また、ピールと呼ばれる籐皮を交差させるように編み込んであるのが「あじろ」だ。「籐を編むのはすべて手仕事です。籐が身近にある暮らしをしている現地の熟練した技術が必要なんです」。
 籐は、加工しても呼吸するという特性がある。生きている敷物なのだ。吸水性もあり、湿気を吸い取ってくれるから、脱衣所や夏の敷物として重宝されてきた。
 「堅くてつやのあるのが良い籐とされます。このつやは使い込むほどに飴色に輝き、風合いが増すんですよ。ただ、籐はジャングルに自生していて、伐採には危険が伴うこともあります。人手不足には悩んでいます」。
 冷暖房の完備で、家の調度品を四季に合わせて変えることが少なくなってしまったことを夏原さんは残念がる。呼吸している籐は冷房の冷気を吸収し、その空気を保ってくれる。いわば断熱作用をもつ、節電につながる敷物でもある。何より、やはりさらさら、すべすべな肌触りが気持ちいい。まずは体感。ギャラリー見学がおすすめだ。

夏原籐製作所

本社
滋賀県長浜市布勢町156 / TEL: 0749-65-2288
営業時間 9:00〜17:00 / 定休日 日曜・祝日

ギャラリー
滋賀県長浜市元浜町14-26 / TE: 090-5656-6027
営業時間 10:00〜17:00 / 定休日  木曜日

籐むしろ、籐あじろそれぞれマット(4,800円〜)、ラグ(20,300円〜)、帖物(31,500円〜)などがある。オーダーメイドや修理なども可能。 ネット通販も行っている。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

なつめ

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