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たくさん雪が降った日

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2011年1月23日更新

 僕は雪が降ると本当は嬉しい。嬉しいなどと書くと、何を言うてんにゃ〜、大変なんやぞ!と言う人もいる。身動きがとれずに僕も嬉しいことばかりではないが、雪が降ると嬉しいのだ。いろんなリズムが変わる……。
 ものすごくたくさんの雪が降って、電車がとても遅れた日、僕は上京しなくてはならなかった。約束の時間には到底辿り着くことができないと諦め、お詫びの電話を入れた途端、リズムが変わった。ジャンジャン降り積もる真っ白な世界が美しい、舞う粉雪が面白い、滑る歩道が笑えるくらいに嬉しい。断っておくが、上京したくなかったからというのではない。上京という言葉には、決意と希望がいつも含まれているように思うので僕は好きだ。
 どうしようもなく、リズムが変わる。車は動かない。少々動かないのではない。全く動かない。何時着くかも判らない諦めがあって、本当に諦めた途端にちょっと楽になっている自分がいる。
 勿論、雪が降ってもやらなくてはならないことはあり、焦らなくてはならないこともあるし、雪の間に出来なかったことは、晴れればやらなくてはいけないから忙しくなる。
 ただ、たくさん雪が降った日は特別な気がするから嬉しい。リズムだけでなく、世界も変わっているのかもしれない。ゆっくり話したり、暖まったりで、事務所猫も僕を見直したに違いないのだ。   

小太郎

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