寒い夜はお風呂が一番!

木之本生まれの野草入浴剤

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 木之本町 2010年12月9日更新

古橋薬草組合 組合長の田中英一さん

 今年の春、木之本で作っているという野草の入浴剤をいただいた。素朴な草の香りと、風呂上がりのぽかぽか感が心地よく、冬には是非と思っていた。この入浴剤、「己高山野草」は木之本町古橋の「古橋薬草組合」が製造販売している。古橋は、平安時代、山岳仏教の道場として栄えた己高山のふもとに広がる集落である。
 ここに「己高庵」という入浴施設があり、野草風呂には組合の作った入浴剤が使われている。もともと組合が結成されたのは己高庵の開業にあたり、地元特産の入浴剤でおもてなししようと考えたのが始まりだ。ヨモギ、トウキ、フジバカマ、ペパーミント、ウイキョウ、リュウノウギク、シシウド、アカメガシワ、オレガノ、ラベンダー、ベルガモット、他ハーブ等、10種以上の野草が入っている。野草は10人の組合員が自宅の畑などで栽培し、刈り取り、乾燥、粉砕、袋詰めまでをすべて手作業で行っている。
 今年は「美学草」という新製品も誕生した。組合長の田中英一さん(85)は「『己高山野草』を和風とすれば、『美学草』はハーブ系の比重を増やした西洋風といったところです」と説明する。

「己高山野草」

 古くからこの周辺は薬草を育てる環境にあったらしい。「かつて己高山には多くの僧が修行で山に入っていましたが、山中ではなかなか風呂にも入れない。そこで薬草を敷き少量の水を入れた蒸し風呂をこしらえて、その香りで体臭を消していたそうです。古橋は雨や雪が多い土地柄で、栽培には向いていないんです。野草も乾燥しませんから……。それでも外で農作業ができない時期の内職として入浴剤作りが、組合員の生活のメリハリにもなっています」。
 野草の香りが満ちる作業場では、女性組合員の皆さんが袋詰めの作業をしていた。「手作業やけど、オートメーション工場やで」と笑っている。本当にものすごい早さだ。一番高齢の方は80代! 野草効果は単に体を温めてくれるだけではないようだ。
 野草の香りはしばらく車の中までついて来た。僧侶たちの蒸し風呂のことを考える……。成分が蒸気となって香りが肺の隅々まで至る感覚。帰ったら、一番にお風呂に入ろうと思った。

「己高山野草」(8包入り600円)

己高庵(木之本町古橋1094)や近隣の道の駅などで販売。
通信販売は5袋以上で田中さん(TEL: 0749-82-4317)へ問い合わせ。「美学草」(10包入り1,200円)は通信販売のみ。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

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