水の生まれる場所へ

中央分水嶺・余呉トレイル

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 余呉町 2009年9月16日更新

行市山分水嶺ルートを確保し、頂上に至る。小谷山、伊吹山など湖北の山々が見渡せる

 山歩きがブームである。今風に言えばトレッキングがブームであるとなる。植物観察や廃村巡りなど、山頂を目指すだけではない山歩きがトレッキングだ。そして、そのコースをトレイルと呼んだりする。廃村トレイル、自然観察トレイルなど、目的次第でさまざまな、トレイルが生まれる。
 現在、余呉町では「中央分水嶺・余呉トレイル」の整備プロジェクトが進められている。
 分水嶺とは、水系の境界のことだ。降った雨が流れ出て、太平洋側と日本海側へ分かれる境界を中央分水嶺と呼んでいる。淀川水系の一部である滋賀県と福井県の県境は中央分水嶺である。

確保した分水嶺ルートをマーキングする檀上俊雄さん。木の成長を妨げないようにゆるめにテープを巻く

 余呉トレイルの整備は、月に2度ほどのペースで進められ、整備完了は数年後の予定だ。8月末、私はこの整備に同行させていただいた。余呉西部の行市山の分水嶺ルートの開拓。文室の集落を抜け、西浅井町との町境付近の林道を車で走り、集福寺の峠近くで下車して行市山の分水嶺をめざす…。分水嶺までと、分水嶺の安全な山道の確保を目的に草木を刈り進んでいく。
 行市山は、柴田勝家の家臣のひとり佐久間盛政が砦を築いた場所だ。織田信長亡き後の後継を巡って柴田勝家と羽柴秀吉が争った賤ヶ岳の合戦で、盛政は行市山から賤ヶ岳を攻めた…。堀の跡、石仏が木や草に埋もれてはいるものの、歴史の痕跡が点々と続いていた。

 「道というのは不思議なもので、自然の中に消えてしまってわからなくなっても、誰かが跡をつけるとまた道になります。こうして草を取り払うことで、動物も喜んで頻繁に通るようになります。だから次にここに来たときは、もっと立派な道になっているでしょう。動物が通るところは自然の多いところ。豊かな自然が残された余呉の山ならではなのです」。
 プロジェクトのリーダーである檀上俊雄さんの言葉だ。檀上さんは、水の生まれる場所の魅力を、登山を通して知ってもらいたいと考えている。日本の分水嶺トレイルのさきがけとなった、湖西の高島トレイルを開拓した人でもある。
 「トレイル」は本来、動物や人の踏み跡を意味する言葉だ。整備に入った時には道はない。けれども整備する人々は迷うことなく前へ進んでいく。振り返ると、そこには木のトンネルがあった。道が生まれていくという感覚が新鮮で、今、私はトレイルを整備するという歩き方に、かなり魅力を感じている。
 この日歩いた道は改めて草を刈り、本格的な登山道として整備される。物語る歴史の痕があり、水の生まれる場所に至るトレイルである。

 

中央分水嶺・余呉トレイル整備事業

9月は14日(横山岳ルート)、30日(玄蕃尾城ルート)を予定。トレイル整備が目的です。参加にはのこぎりや剪定ばさみを持参のこと。

お問い合わせ
ウッディパル余呉 TEL: 0749-86-4145

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

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