山内さんの  愛おしいもの・コト・昔語り『アクリルたわし』

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 2018年10月11日更新

 ご縁があって、長浜市木之本町古橋にお住まいの山内喜平さん(91)和子さん(91)ご夫妻にお会いしてお話を聞き色々教わっている。ふと耳にする山内さんのお話が面白い。「愛おしいもの・コト・昔語り」は、私が聞いた中でもこれはと思った、或いは伝えておきたい山内さんの記憶である。
 前回、喜平さんに頂いた〝七夕豆〟の事に触れたので、その後の豆の成長を記しておくと、白い小さな花がいくつか咲いたが、先日の台風でひどく打ちひしがれた様子になっている。まだ豆の姿はどこにもない。豆の調理法をお尋ねできるほどの収穫ができればいいなぁと願っているが、どうなることか。
 6月に喜平さん、9月は和子さんがお誕生日を迎えられ、お二人そろって91歳になられた。今回は、和子さんの事を書いてみたいと思う。

 初めてお出会いした昨年12月、和子さんは手芸作品を見せて下さった。手編みのベッドカバーは超がつく大作、変わった編み方のひざ掛けや手縫いのパッチワークの布団カバーなど……。喜平さんに劣らぬ几帳面さが伺えるものばかりで、「若い頃に作りましたんや。郡展にも出して賞も頂きました」と言われた。次に訪ねたときには可愛らしい手編みの「アクリルたわし」をプレゼントしてくださった。そして「これ、どこから編んだらよいかわかる?」と嬉しそうに微笑まれた。
 和子さんの編み物は独学だ。小学校2年生ごろ、ベレー帽を編もうと編み針を持ち、平らに丸く編み、次は筒状に、増し目や減らし目を試行錯誤して思う形を作り上げる中で、編むことの楽しさや出来上がる喜びを深めていったそうだ。私は、編み物の本を開き、編めそうな作品を見つけて、本に従って糸や針を揃え、製図に従って編むことしかしてこなかったが、和子さんはゼロから作品を作りあげる本の中の作家と同じだ。編み方も本の中には出てこないようなものもあり、見たことのない編み目もある。何と表現すれば適当かわからないが〝パイオニア〟という言葉がしっくりきそうだ。
 編み物が得意な友人に堀川さんという女性がいて、堀川さんに話すと和子さんに編み方を習い、編み図に描いてみると、遠く千葉から数回通って来られた。真面目な堀川さんの熱心な姿勢に、教える和子さんは本当に嬉しそうだった。「誰かに伝えられて本当に良かった」といつもいつも同じ言葉を繰り返しておられた。
 「どこから編めばいいかわかる?」と尋ねられた「アクリルたわし」は、ヴォーグ社の本にも掲載され、編み図もついている。編み物をしない方にはわかりにくいお話で恐縮だが、最初に作るくさり編みで8の字のような二つのわっかをつくるところにミソがある。和子さんにたねあかしされたが、「よーこんなことを考えましたね!」と驚くしかなかった。和子さんの頭の中には完成品が浮かび、それを紐解いていくとこうなるのかしらと思いながら、〝すごいな〟と思うばかり。編み図を見ても、編めそうな気はしなかった。

 

光流

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