半月舎だより 23

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2018年10月1日更新

本屋らしくなる

 8月、前半のお盆休みと中盤の出店期間を経て、後半も店を休んだ。秋で開店七年を迎える店内は、買取したまま棚に入れることができない本で埋め尽くされてにっちもさっちもいかなくなっており、ここらで大掛かりに整理しなくてはならない、とかねがね思っていた。8月後半は、店舗改装のためにお休みをいただいたのである。
 改装では、同じ商店街にデザイン事務所を構えるMさんを中心に、近所の材木屋さんに棚板を納めてもらったり、溶接ができるバイク屋さんに棚脚をつくってもらったりと、たくさんの方にお世話になった。Mさんは、大きな収容力のある本棚をさして「この本棚を撤去した方がいい」などと大胆なことを言ってわたしを愕然とさせたかと思いきや、「外に灯りをつけてみようよ」「ここに椅子を置いたらいいよ」とこまやかに配置を気にかけ、果ては「在庫を置く場所を確保した方がいい」と店の根本的問題にたどり着くやいなや近所に倉庫を借りる手配までしてくれた。そうしてわたしは広い倉庫を借りることができ、棚に入りきらず舎内のそこここに潜んでいた大量の在庫を、つぎつぎみかん箱に詰めて倉庫へ移動した。終わってみれば、倉庫に運び込んだ箱の数は百をゆうに超えた。改装をしようにも、店を埋め尽くすあまりの本の多さに呆然としていたが、倉庫を借りることができたおかげで作業は大きく進み、9月半ば、なんとか店をふたたび開けることができた。Mさんは「これは在庫整理と大掃除とレイアウト変更であり、改装ではない」と言い放ち、わたしは申し訳なくもおかしくて笑ってしまった。
 帳場の場所も変えた。日曜大工を特技とする近所のワイン屋さんにつくってもらった台の上に席をしつらえ、快適に過ごしている。並んでいる本の冊数は減ったはずだが、本が見やすくなったせいか、お客さんは「以前より本が増えたように感じる」と言う。おもしろいのは異口同音に「本屋らしくなった」と言ってくれることだ。わたしは一体今まで何屋をしてきたのか…と思う反面、「捨てられている本をなんとかできないか」と思ったことをきっかけに古本屋を始めたわたしは、古本の引き取りのことばかり考えが先行して、お客さんのためにどんな店であるべきかという、店をするものなら誰もが当たり前に考えるだろうことが欠落しがちだった。そんな自分にも初めて気がついた。店づくりのプロであるMさんには呆れられそうだが、店の改装を通じてそうしたことも教えてもらったことに、とても感謝している。どうやらこんなやり方でしかできないようだが、こんなふうにだんだん「本屋らしく」なっていけたらと思う。
 さて、周年を迎えるごとにやってくるのが、半月舎の主催する本のフリーマーケット・一箱古本市「ひこねウモレボン市」である。こうした大きなイベントの開催もいつまで続けていけるかわからないが、今年もめぐる季節を実感しながら、当日を楽しみに待っている。

第8回ひこねウモレボン市

日時 2018年10月13日(土)10:00〜16:00
会場 滋賀縣護国神社(彦根市尾末町1-59)
お問合せ 半月舎(0749-26-1201)

 

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

編集部

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