石田三成に、『逢える』 ブックカフェ

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 米原市 2018年10月4日更新

 米原市朝日の観音寺は、秀吉が初めて城主になった横山城の麓にあり、三成が生まれた石田からもほど近い。三成の父・正継が地元の土豪として観音寺の「旦那職(だんなしき)」だったことからも、境内は三成の幼い頃の遊び場だったことが想像できます。秀吉との出逢いの逸話「三献茶」の舞台となったのが、この観音寺だろうと先行書が記すのも納得のいくところです。さて、その観音寺の本坊で、三成本ばかりを集めたブックカフェをオープンして2ヶ月が経ちました。毎週末の土日、朝9時から夕方の4時半まで、お世話をしてくださっているのは、地元朝日の方たちです。このブックカフェを企画した立澤氏は、三成・戦国関連のイベントを数々企画してきた人物ですが、彼の意図するところ、「そろそろ、本当の三成の姿を伝えたい」という思いの下、三成に特化した書籍を一堂に集め、日がな一日、三成本を読みながら過ごすことができる「場所」を作りました。ここに来れば、「三成のすべてを知ることができる」「真実の三成に出逢うことができる」そうして集めた三成本は、学術書、博物館図録、小説、エッセイ、コミック等々合計300冊。観音寺ご住職からも貴重な本を寄贈していただいています。歴史上の人物を好きになるということは、その人物がどのように伝えられてきたかに大きく左右されます。家康を敵に回し、関ヶ原の戦いで敗れた三成のことを幕府の御用史家たちは、こぞって悪人だと伝えてきました。歴史は勝者によって編まれていくものですから、それはそれで仕方のないことです。が、ブックカフェの書棚に並ぶ三成本の背表紙を見ていますと、これほどの執筆者たちが、三成の汚名を雪ぐために刀をペンに代えて、その腕をふるってくれたのだと気づきます。そして、三成の真実の姿を今に伝えようとしてくれていることに改めて感じ入るのです。かつて、この寺で秀吉と出逢った三成のように、ページをめくるその時に大きく心を震わせるような出逢いをしてもらいたい。
 いざ、往かん「石田三成に、『逢える』ブックカフェ KANNONJI851」へ。

田附清子

編集部

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