半月舎だより 21

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2018年7月31日更新

夏の野望

 こんなに暑いのだから、できれば外に出ずに、店のなかで涼しい空気に包まれて過ごしたい。本来なら、店の帳場に陣取って、引き取った本のそうじや値つけ、読書に勤しみたいところだ。しかし夏はイベントも多く、基本的に仕事を断らないという姿勢でお声かけを受け続けていたら、とても忙しくなってきてしまい、驚いている。
 まず8月8日から19日は、つねに精力的に展示や企画をしておられる京都の古書店「レティシア書房」(京都市中京区瓦町551)さんで「夏の一箱古本市」が開かれる。毎年参加させてもらっているので、今年も参加させてもらう。50冊ほどの本を選抜し、出品用に値札をととのえ、リストを作成し、発送をしなくてはならない。
 期間が重なる8月16日から19日は、同じく京都で神出鬼没な古本販売活動を続ける「マチマチ書店」さんの誘いで、「京都マルイ夏の古本市」に参加することとなった。15日までに持ち出す本を300冊ほど選び、こちらも出品用に値札をととのえ、16日朝に搬入。そして16日はいちにち、京都マルイ(京都市下京区四条通河原町東入真町68)入り口で店番である。
 さらに8月18日、19日に大津市桐生キャンプ場(大津市桐生1の26の7)で開かれる野外音楽イベント「寝待月のショー」には近所のワイン屋スリーさんと一緒に「半月ワインバー」として参加することになった。おそらくこちらも300冊ほどの本を用意する。キャンプ場の緑の中、音楽を聴きながらワインと本を楽しんでもらえるというのは、とても楽しみな企画だ。しかしはじめての野外宿泊イベントへの出店なので、緊張している。
 かくして「こんなに暑いのだからできれば外に出ずに…」というわたしのこの夏のささやかな野望は、すっかり打ち砕かれてしまった。ふだんからイベントなどで臨時休業が多いので、お客さんからは「古本屋の店主は、店の奥で毎日じっと座っていてほしいなあ」という要望をつねづね受けており、わたしもその通りだなあと思っているところだが、残念ながらこの夏はまったくかないそうにない。
 出店当日はもちろん、準備にもずいぶん時間と手間がかかりそうで、なんだか途方にくれている。それでも誘われたら引き受けようと思うのは、たぐり寄せるようにつながってきた縁から来る誘いだからだ。学生のときにつくったリトルプレスで書籍の紹介を担当したわたしを覚えていてくれたレティシア書房さんの誘いであり、昨年もマルイでの出店にかかわらせてもらった際に後味のわるい失敗をしたわたしにふたたび声をかけてくれたマチマチ書店さんの誘いであり、ふだんから助けてもらっているワイン屋スリーさんの誘いだからである。
 お店に来てくれるお客さんには悪いことをしているが、今はこういう時期だと思いなおすようにしている。そしていつか店の奥で毎日じっとしている古本屋の店主となるんだという野望を、夏に誓いなおしている。

M

夏の一箱古本市

期間:2018年8月8日(水)〜19日(日)
場所:レティシア書房(京都市中京区瓦町551)

京都マルイ夏の古本市

期間:2018年8月16日(木)〜19日(日)
場所:京都マルイ四条通り側入り口(京都市下京区四条通河原町東入真町68)

寝待月のショー

期間:2018年8月18日(土)〜19日(日)
場所:大津市桐生キャンプ場(大津市桐生1-26-7)
※要チケット

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

編集部

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