半月舎だより 20

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2018年6月25日更新

まだ見ぬ「バンコクナイツ」

 小さくとも濃厚なラインナップの映画をかけてくれる映画館がまちにほしい、というのは、ずいぶん前から思っていたことのひとつだ。せめて、地方では鑑賞が難しい映画を、少しずつでも自主上映できないか、ということも、頭の片隅であたためてきたことだった。そんなささやかな思いつきの一端が、今月末30日に実現することとなった。映画「バンコクナイツ」の、一日きりの上映会である。
 「バンコクナイツ」とは、映像制作集団「空族」が2016年に公開した映画。「空族」は「作りたい映画を勝手に作り、勝手に上映する」をモットーに、独自のスタイルで映画を制作し、配給もみずから行う。そして、作品は一切ソフト化しない。劇場公開がひと段落してしまった2018年、きっと観るのは難しいだろうと思いながら、わたしは手帳につけている「観たい映画リスト」に、「バンコクナイツ」をくわえていた。
 「バンコクナイツ」は、タイの首都・バンコクにある日本人専門の歓楽街「タニヤ通り」で働くタイ人女性ラックと、そのかつての恋人である日本人男性オザワの物語。数年ぶりに再会したふたりは、オザワがラオスでの仕事を依頼されたことをきっかけに、ラックの故郷でありラオスとタイの国境に位置する街、イサーン地方ノンカーイへ向かう。そして舞台はイサーンの深い森、ラオスへと移っていく…ふたりの恋愛を物語の軸に、古くから国境紛争に翻弄され続け、現在でも貧困や差別の問題を抱えるイサーン地方や、実はベトナム戦争でもっとも激しい爆撃を受け、今でもその傷痕が残るラオスの姿を、映画は映し出していく。
 はげしい歴史ときびしい現実から生まれるイサーン地方の音楽が劇中に多く使われたことも注目された点で、「バンコクナイツ」は音楽映画としての側面ももつ。今回、幸運にも上映会を開催できることになったのも音楽のつながりで、過去に何度か半月舎の主催でライブを企画させてもらったアーティスト・エマーソン北村さんとmmmさんが「バンコクナイツ」のトリビュート盤を今年リリースし、7月にふたりのライブをまた半月舎で企画させてもらうことになったからだ。
 わたしが「バンコクナイツ」を観たいと思い続けていたのは、義父がイサーン地方の都市コラートに住んでおり、そこを2度訪れたことがあるからである。どちらものんびりした旅行で、イサーン地方の歴史の特殊性や、音楽のおもしろさを感じることはなかった。けれども、日本とタイを行き来しながら4年間かけてリサーチを重ね、現地で制作された「バンコクナイツ」では、わたしがタイで見た風景と重なるものが、きっと違う文脈をもって立ち上がるんだろうという予感がしている。
 当日は、タイにまつわる本もお持ちしようと、用意している。じつは、2度もタイを訪れながら、わたしはバンコクの街中へ行ったことがない。まだ見ぬバンコクの夜を思いながら、30日を待っている。

M

映画「バンコクナイツ」上映会

日時 2018年6月30日(土)13:00〜 / 18:00〜
会場 ダンスホール紅花(彦根市河原2丁目8-3)
料金 予約一般1,500円、学生1,000円(当日各300円増)小学生以下無料
定員 各回30名

お問合せ・お申し込み

半月舎
TEL: 0749-26-1201

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

編集部

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