「そのもののある不自然なる実体」

高橋良・川村憲太合同展

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 甲良町 2018年3月1日更新

川村憲太さん(左)と高橋良さん(右)

 画家の高橋良さんから、「3月に展覧会を開くのでぜひ取り上げてください」と連絡をもらったのは1月の中旬頃だった。写真家の川村憲太さんとの合同作品でヌードをテーマにしたものだという。
 ヌードと聞いて、一瞬たじろいでしまった。少なからず写真に取り組んできたものとして、ヌードというのがとりわけ特別なテーマではないことはわかっている。おそらく、今まで自分の中で何か「別もの」「自分には関係ないもの」として見て見ぬふりをしてきたのだと思う。そこには「いやらしいもの」「隠しておくべきもの」といった偏見もあったかもしれない。それで、一瞬たじろいでしまったのだ。
 今回の展覧会は、画家の高橋良さんと写真家の川村憲太さんの二人が異なる2種類のシリーズの作品をつくり上げ、高橋さんのアトリエである高橋美術と、川村さんのスタジオ兼ギャラリーであるEN.dの2会場で同時に展示される。ひとつは、モデルの女性に墨を塗りたくって撮影したモノクロ写真のシリーズ、もうひとつは、絵を描いた和紙をちぎってモデルの女性に貼り付けたカラー写真のシリーズで、どちらも、いわゆるグラビア写真のような「ヌード」という言葉から連想されるものとは全くかけ離れた、人間の生命力や身体の神秘を感じさせる作品だ。

 これらの作品は2年ほど前、お互いにどちらからというわけではなく着想し、こうして作品という形になったという。それは、二人の根底に流れる表現したい感情・表現したい欲求が共鳴したと言えるのかもしれない。高橋さんはこの感情を、「ネガティブなドロドロしたもの」という言葉で表す。他人から見たら「ネガティブなドロドロしたもの」かもしれないが、その感情に突き動かされて作品が生まれる。「そして、それは同時に美しいものでもあるのです」と川村さんが付け加えた。
 二人の話を聞いて、僕は「ヌード」とか「美しさ」について勘違いしていたのかもしれないなと思った。世間が決めた価値観に従って、誰かが決めた美しいものだけを美しいと思っていたのではないか。自分にとっての本当の「美しさ」とは一体どういうことなのか。漫然と過ぎていく日々の中で、本当は「美しさ」について真剣に考えたことがなかったのかもしれないとさえ思った。
 二人の作品展が、それらを考え直すきっかけになればいい。

 

そのもののある不自然なる実体

画家 高橋良と写真家 川村憲太。同世代の二人が同じ空間と対象を元に、それぞれの美意識と直感に従い異なる作品を制作しました。ある時間と空間、人と人がリンクした結果生まれる必然の瞬間。その瞬間の形を二つのギャラリーにて同時展示します。(DMより)

会期: 2018年3月11日〜3月21日

高橋美術
平日・土日 11:00〜17:00
滋賀県彦根市平田町694-7
TEL: 0749-20-4963
※16歳未満は保護者同伴でお願いいたします。

EN.d
平日 20:00〜22:00 / 土・日・火 11:00〜17:00
滋賀県犬上郡甲良町法養寺42-1
TEL: 0749-29-9037
※16歳未満のお子様の入場はお断りしております。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

はじめ

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