ウサギとカメ・階段・小学校

豊郷町立図書館

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 豊郷町 2009年6月14日更新

豊郷小学校旧校舎

5月末……、豊郷小学校旧校舎の一部が町立図書館としてオープンした。教室のいくつかの壁を取り払い、書架が設置してある。かつての学び舎の雰囲気はできるだけそのままに残され、教室ごとにおいてあった掃除用具入れは、塗り替えられ物入れになっていたりする。
長く、広い廊下を歩いていると、ここで学んだことはないはずなのに、自分自身の子どもの頃の思い出とリンクし、チリチリと胸が痛む。

写真を撮っていると、多賀町から来たという老齢の男性に出会った。
「小学校の頃、遠足みたいなものでここに来たことがあって、こんなにすばらしい学校があるのか、と本当に驚いたんです。豊郷の子たちがうらやましくて……」。
鉄筋コンクリートづくりに加え、プールなどの設備は、当時最高水準の小学校だったのだ。
今、時代を経たこの校舎に、自分の生きた時間を重ねながらノスタルジーを感じる人々は多いだろう。過去の建築に癒しを感じる人々もいる。
豊郷小学校の旧校舎は、今から72年前、昭和12年の竣工。滋賀を代表する先人が関わり、校舎設立資金を全額寄付したのが、豊郷町出身の丸紅専務、古川鉄治郎氏だった。そして、古川氏が設計を依頼したのが、数々の名建築を遺したウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏である。

階段の手すりにあるウサギとカメの像

ところで、ウサギとカメの像が、校舎の階段の上り口にある。ウサギとカメの像が並んで上を見上げている。この小学校で過ごした子どもたちに触れられ続けてきたのだろう鈍い光を放っている。
階段を上っていくと1、2階の間の踊り場のところで、昼寝をしているウサギに出会う。カメは、というと、その先をゆっくりよじのぼっている。2階にたどりつくと、ゴールしたカメがウサギを見下ろしていた。手すりがストーリー仕立てになっているのだ。
居眠りしてしまった俊足のウサギを追い越し、着実に歩み続けたカメが勝った……。ウサギとカメのかけっこのお話は、イソップの寓話だ。


現在のウサギとカメの像は二代目にあたる

こんな話を聞いた。
古川氏は小学校時代に先生から「ゆっくりでもいいから前に進んでいきなさい」とウサギとカメの話を聞かされた。ヴォーリズ氏はそれを聞き、ウサギとカメを階段手すりに配した……。戦時中、ウサギとカメは金属供出のため撤去されたが、校舎建設当時、現場監督だった竹中工務店の神谷新一氏のはからいで戦後再び設けられたのだという。現在のウサギとカメは二代目にあたる。
素敵な話だと思う。
校門から見た真っ白い校舎、講堂……、豊郷小学校の特徴的な風景によく似たシーンが登場するアニメが、今テレビで放映されている。ウサギとカメの階段も描かれている。アニメを通して、豊郷小学校旧校舎のような光景が、どのように受け入れられているのか知りたいところではある。もはや、ウサギとカメも、我々が知っている寓話ではないのかもしれない。少なくとも、ノスタルジーや癒しではないことは確かだろう……。

豊郷町立図書館

豊郷町石畑518 豊郷小学校旧校舎内(10:00〜18:00)
TEL: 0749-35-8040
月曜・第3日曜・毎月最終木曜休
閲覧は自由、貸し出しは町内在住者、町内通学・通勤者

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

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