伊香のイカすもの

　木之本地蔵院の前は、鉄道の方へ向けてなだらかに下る坂道と北国街道がまじわる、T字の交差点になっている。昨夏、その角に、イカのマークがあしらわれたお店ができた。
　「IKA’S MONO STORE」。2010年に長浜市と合併するまで伊香郡と呼ばれていた4つの町、木之本町、高月町、余呉町、西浅井町のアンテナショップである。伊香郡のおいしいもの、良いもの、かっこいいものといった「イカすもの」を中心に集めたこの店は、2014年にオープンし、昨年夏にリニューアルオープンした。その際、このイカマークも誕生し、店頭にあしらわれるようになった。
　店頭には、余呉の山菜の佃煮「湖国炊き」、丁稚羊羹、つるやさんの名物「サラダパン」、木之本のお醤油屋さんのせんべいなどの他、全国各地のご当地サイダーやご当地カレーといった珍しいもの、そして地元の企業とともにつくったお菓子や、ノルディックポールなど、IKA’S MONO STOREだけの限定商品もある。
　「伊香」という地名の由来は古く、神話にまでさかのぼると言われる。海に住む「イカ」は、もちろん伊香にはいないけれど、そして「伊香」という地名も地図上からは失われたけれども、この地域に古くから伝わる「いか」を旗印に、まちを活かすため、この店を基点に動き出している。しかし、今年度の営業は2月29日まで、その先の営業については現在未定という。イカの今後の動向が気になる。
　初詣というには少し遅いかもしれないけれど、木之本の大きなお地蔵さんに会いに、そして伊香のイカに会いに、寄りたいと思っている。

【はま】