学習療法という希望の光

「僕がジョンと呼ばれるまで」上映会

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2015年6月29日更新

上映実行委員会の瀧波信之さん

 先日、「僕がジョンと呼ばれるまで」という映画の試写会に参加してきた。
 「僕がジョンと呼ばれるまで」は、学習療法という日本で開発された脳活性化プログラムを基に、アメリカの介護施設で行われた認知症改善の取り組みを追ったドキュメンタリー映画だ。この4月に発足した滋賀県学習療法実践研究会などが中心となって滋賀県上映実行委員会を結成し、滋賀県内での自主上映会の活動を行っている。彦根では、7月10日にひこね市文化プラザで上映会が開かれる。
 彦根での上映会で中心的に活動しているのが瀧波信之さんだ。瀧波さんは、彦根市内にある医療法人友仁会の介護施設に勤務し、研究会では北部支部長を務めている。実は以前から瀧波さんとは面識があったが、こういった活動を行っていることは今回初めて知った。瀧波さんは、22歳のとき、尊敬する先輩に勧められて介護の職に就いた。以来15年、介護一筋の人生だ。「もともと介護の仕事を志望していたわけではありませんでしたが、現在ではこの仕事が天職だと思っています」という。
 そして、3年前に学習療法のことを知り興味を持った。学習療法は、「脳トレ」で有名な東北大学の川島隆太教授とKUMON、介護施設の三者による国の共同プロジェクトから生まれた認知症の維持・改善を目的とした非薬物療法だ。簡単な計算問題を素早く解いたり文章を音読したりすることで脳が活性化し認知症の維持・改善の効果が得られるのだという。
 学習療法のことを知った瀧波さんは、すぐに自身が勤める介護施設でも導入できないものかと上司にかけ合い、研修を受けたりデータを集めたりと奔走。晴れて昨年度から学習療法を取り入れることになった。そして、実際に介護の現場で学習療法の効果を目の当たりにし、さらなる学習療法の普及を考えるようになった。
 実際、瀧波さんのような活動によって、学習療法の普及は徐々に進んでいる。それでも、滋賀県内にある1000以上の介護施設のうち学習療法を導入している施設は20にも満たないのだという。そもそも学習療法の存在自体が介護関係者にもあまり知られていないということが、なかなか普及しない一番大きな要因なのだそうだ。そんなとき、「僕がジョンと呼ばれるまで」という映画のことを知り、それが今回の上映会の動きへとつながっていった。4月から試写1500人を動員した。6月末から7月にかけて大津・栗東・彦根で行われる本上映では、さらに1人でも多くの人に見てほしいと活動を続けている。
 これからますます深刻化する高齢化社会。4人に1人が認知症とその予備軍であると言われている。僕の両親のことを考えても、決して他人事ではない。でも、この映画を観てちょっとだけ安心した。希望がある限り、人は生きていける。僕もそれを信じたい。

映画「僕がジョンと呼ばれるまで」上映会

日時 2015年 7月10日(金)10:30〜 / 13:30〜 / 16:00〜 / 19:00〜
会場 ひこね市文化プラザ エコーホール
定員 各回 346名
前売券 1,000円 / 当日券 1,500円

お問い合わせ

「僕がジョンと呼ばれるまで」滋賀県上映実行委員会 事務局
TEL: 077-544-1197(担当:古澤)

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

編集部

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