" />

近代を知る手掛かりとして

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2015年6月29日更新

 彦根では7月10日から、「井伊直弼生誕200年祭」が始まる。数々のイベントが計画されている。
 戦国時代はどんなに美化して語ったとしても人と人が殺し合った時代だ。勿論、僕にも一人や二人ご贔屓の武将がおり、当時の事跡を追いかけるのも好きだが、どうしてもこの時代にのめり込めないでいる。そしてもう一つのめり込めない理由がある。家紋や旗印はカッコイイのだが、この時代に書かれた文字が読めないのだ。
 その点、相変わらず戦争も繰り返し行われてはいるが、近代は自分で文字を何とか判読できそうな時代だ。そして、街には近代の痕跡がたくさん残されている。だから、どちらかといえば近代の方が僕は好きなのである。
 幕末、開国の決断は誰かがしなくてはならなかった。井伊直弼公はその決断を命を賭して行い、近代への道を拓いてくれた。そういう意味で僕は生誕200年祭に期待している。
 滋賀大学経済学部の総合研究棟「士魂商才館」で、企画展「近代彦根の歩みと彦根高等商業学校の誕生」が開催されている(2015年12月18日まで)。
 小さな企画展だが『日本が幕末開港という困難な時期を乗り越え明治維新を達成して近代国家を建設していった時、彦根の人々はどのようにして産業を起こし近代都市を発展させ、彦根高等商業学校(現滋賀大学経済学部)を建設していったのか。湖東焼の銘品やペリー来航の実際を描いた「米艦渡来之図」、開港50周年を期して建立された直弼像ゆかりの鉄瓶、富岡製糸場と彦根製糸場の交流を語る史料、近江鉄道や明治の彦根の姿を伝える引札類、彦根高商の教育資料と学内風景など、今回初めて公開される貴重史料を公開展示』している(開催時間:9:00~17:00 / 入館料:無料 / 土・日・祝日休館)。
 滋賀大学経済学部は、正門を入ると右手に近代化遺産の講堂があり、未だにアカデミックな空気で満たされている。自分自身の手の届く近代を知る機会になるのではないだろうか。

小太郎

スポンサーリンク