町家の新しい暮らし方

シェアハウス「絹市」

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 2014年8月25日更新

 ここ数年で「シェアハウス」という言葉をよく耳にするようになった。数人で一軒家を借りてシェアするという居住スタイルは、僕たちが学生のころから普通にあったことだが、「シェアハウス」という言葉が広まってから一気に市民権を得たように思う。
 全国で急増するシェアハウス。先日、長浜でも町家を改装したシェアハウスがオープンし、内覧会が行われた。明治6年に建てられた醤油屋の商家を全面的に改装したこのシェアハウスは、当時の屋号をそのままに「絹市」と名付けられた。玄関を入ると土間が広がり、母屋の一階部分は共有スペースとなっている。母屋の二階に二部屋、さらに中庭に面したキッチンの奥に蔵を改装した二部屋、合計四部屋が住居スペースだ。キッチンの屋上にはバルコニーが設けられ、中庭から上がることができる。築140年以上の建物だが、内部はもともとの意匠を残しつつ、古さを感じさせない現代的な空間にリフォームされていて、古いものと新しいものが見事に調和している。こんな家なら僕も住みたい!と思ったが、すでに四部屋の入居者は決まっているという。

 このシェアハウスの運営は、長浜町家再生バンクが行っている。長浜町家再生バンクでは、3年ほど前から、こういった町家活用の構想をスタートし、家主に代わって町家を維持管理する「風通し屋」、空き町家の家主と借り手をつなぐ「橋渡し屋」などの活動を行ってきた。シェアハウス絹市もこういった活動の中から生まれてきたプロジェクトで、ある意味でその集大成とも言える。プロジェクトを進めてきた長浜町家再生バンクの竹村光雄さんは、自身も長浜の町家に暮らす大の町家好きだ。「町家と言うと、古い家には住むのはちょっとという声も聞こえてきますが、リフォームするとこんなに素敵になるのだということをもっと知ってもらいたい。絹市がモデルケースとなって、町家に暮らすということを広めていけたら」と話す。絹市では、共有スペースを活用してイベントやワークショップなども企画している。シェアハウスとしての機能に留まらず、地域の拠点としての町家活用でもあるのだ。
 僕が若い頃に絹市のようなシェアハウスが近所にあったら間違いなく住んでいただろうなぁ。というか若い頃にこんなシェアハウスに住みたかった。それはタイミング的にも年齢的にも敵わなかったことだという事実が悲しいけれど。

はじめ

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