清凉山不動院のこと 後編(下)

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 多賀町 2014年8月27日更新

 多賀町敏満寺にある清凉山不動院(高野山真言宗)は不思議なところである。そして、僕が不動院を好きなのは、住職の佐々木琳慧(りんけい)さんのオリジナリティーだ。仏典、密教の加持祈祷術は勿論だが、暦を熟知し、諸葛孔明以来の奇門遁甲を極め、易、陰陽道、風水、気功、そして神道にも深く通じておられる。祭壇の最上段には「四面火焰不動尊」の御厨子、手前には、御神体の鏡が二つ祀られている。
 前回、「僕はいつも佐々木さんと話す時間を多く持ちたいと思っている。囚われない自由な発想と工夫、そして毎回、進化されているだろうその姿が興味深い。佐々木さんにとっては進化だろうが、実は、その手探りの進化は神仏習合の原点へと向かっていると思えてならない」と書いたが違っていたようだ。
 高野山は来年開創1200年を記念して、「弘法大師の飛行三鈷」をかたどった御本尊(祈念三鈷)・木製「撫で三鈷」・奥之院に今も灯り続ける「不滅の聖燈」を各地の寺院でリレーし、記念の法会や催し『高野山結縁行脚~大師の三鈷と不滅の聖燈~』が行われている。滋賀県は不動院で8月19日から21日の間、一般公開され、僕も20日、不動院を訪れた。この時、佐々木さんの祈祷について「手探り」という表現が正確ではなく、「先々代のやり方の復元」だったということを知った。

 「佐々木家の先々代は神職が先でして、そのあと高野山で修行して真言僧となっております。鏡にせよ祝詞にせよ、私の祈祷は、先々代がやっていたテキストをそのまま復元したものです。50年ぶりくらいになります。効果は半端ではありません。テキストは、先々代の佐々木宰相(祖母)が記したものです」と佐々木さんの説明を受けた。
「空海さんの時代、石のお墓もなく、仏壇もなく、檀家制度もありませんでした。お寺に期待されているのはひたすら『霊能力』。力がない寺はすぐなくなる。お寺もベンチャーの時代だったのかもしれません。不動院にもちゃんと檀家はありますが、檀家に頼ることのなかった空海さんの時代のカタチにもどっていく、このあたりが非常に面白いところだと思います。多くの人の悩みを聞き、神仏の媒介となり、人々をお救いする。それが、そういう能力を与えられた者の仕事であるはず」と佐々木さんはいう。    
 関ケ原の戦いの石田三成の旗印は「大一大万大吉」。様々な解釈はあるだろうが、「とにかく、今、この世で、まず、みんなで幸せになろうよ」という意味だと思っている。生きている間に幸せになろう。佐々木さんの在り方と似ているかもしれない。
 現世利益……、痛みや苦しみから解放され、平穏無事に何事もやり過ごせるなら僕はもう十分だと思っている。近い将来が大事なのだ。今、自分自身に力がなくては誰も幸せにすることができないのだ。
 僕は「不滅の聖燈」の光を受け、不動院代々の祈祷をしていただいた……。祈祷の前に太鼓を叩き、法衣を纏い祝詞を奏上し、大幣(おおぬさ)を使う佐々木さんに任せておけば大丈夫だろと、僕はあくまで他力本願だ。あと一歩の力、ほんの少しの安心、そういうものが、とても大切なのである。

高野山真言宗清凉山不動院

滋賀県多賀町敏満寺178 / TEL: 0749-48-0335(佐々木琳慧)

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

小太郎

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