お雛様から始まる……

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 2009年2月22日更新

 今、彦根や長浜のまちなかでは、雛をテーマに商店街や店ごとにさまざまな雛人形が展示されている。彦根では8つの商店街で、長浜では約60店舗で、代々受け継がれる歴史あるものや、クラフトの店ならではの手づくり雛との、一期一会、運命的な出会いがある。
 長浜・大手門通り商店街にある玉八紙店に飾られているのは、江戸時代のお雛様である。何しろ大きい。着物も、女雛の髪飾りもボリュームがあって豪華だ。そして、手の表情……。精巧で、雅やかな手の表情は今にも動き出しそうな雰囲気さえある。
 「娘が子どもの頃に出したら、怖がって。それっきりしまっていたんです。今年各店でお雛様を展示することになり、20年ぶりに飾りました」。
玉八紙店の西田朝子さんが教えてくださった。
 玉八紙店のお雛様は、昔で言うと帳場と言うのだろうか、畳の間の奥に飾られている。この小ぶりの畳の間で朝子さんは事務作業やお会計をする。
 「表具やふすま紙を取り扱っていることもあって、紙を広げてお客さんとやりとりする場所ですね。こういった畳の間は、反物を広げる呉服店さんでも見かけますが、今では少なくなりましたね」。
 玉八の歴史は1668年まで遡る。初代が、この地で料理店として商いを始め、明治に紙店に転業したのだという。朝子さんのご主人富太郎さんは12代目となる。今の店は約20年前に新築しているが、店舗の構造は以前の建物をほぼ踏襲しているのだという。
 手すきの紙、友禅織りの和紙…紙なら何でも揃うのが玉八紙店だ。
 「金色の紙を探してるんやけど」と来店する人があった。「おこないさんですか?何かに貼ったりしはるの」と言いながら、朝子さんが、さっと金色の紙を畳の間に広げている。そんなやりとりがきっとずっと繰り返されている……。
 店の西側、米川沿いに、時代が止まった古い建物がある。紙店以前の料理屋だったところだ。いけすの名残も留めている。玄関口に「西田天香」の石碑が建っている。西田天香は明治に長浜で生まれ、北海道、京都へと移り、「無所有・奉仕」生活を実践した宗教思想家だ。長浜名誉市民第一号でもあり、長浜では親しみを込めて「天香さん」と呼ばれる。同じ姓からわかるように、西田さんと、天香さんとは血縁関係にある。
 お雛様……。そこから意外なモノやコトへ繋がっていく。雛人形を愛でるだけでなく、始まりの発端を探してみるのも面白いと思う。

椰子

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