百年の時を超えて

北国街道 安藤家「ふすまのすがた」展

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 2014年5月12日更新

野田拓真さん、藍子さん夫妻と娘の一紺ちゃん

 長浜の北国街道 安藤家で、北大路魯山人が手がけた書院「小蘭亭」の特別公開にあわせて、野田版画工房の「ふすまのすがた」展が5月17日まで開催されている。
 北国街道 安藤家は、秀吉の命を受けて長浜の城下町を整備した「長浜町十人衆」のうちさらに有力だった「長浜三年寄」の一家として活躍した安藤家が明治38年から大正4年にかけて建てた近代和風建築だ。安藤家の離れ「小蘭亭」は、北大路魯山人が描いた襖絵や天井画などで彩られていることで有名で、年に4回特別公開されている。
 昨年の特別公開の際に訪れた野田拓真さん、藍子さん夫妻が、魯山人の手がけた小蘭亭に感銘を受け、この安藤家の空間でなにかできないかと考えたのがきっかけで、今回の展示が実現した。

「とおくをみる」

 安藤家母屋の二間には、四枚立の襖をはじめ、「生命力」を題材にした新作のパネルや襖紙を折ってつくられたオブジェなどが展示されている。どれも安藤家の建物の空間を生かしてそこに合うように制作されたものだ。なかでも「とおくをみる」と題したパネルは、安藤家にもともとあった大正時代の襖を背景にして額に見立て、襖と同じ雲母摺りの技法を用いてつくられていて、見る角度によって雲母が光りそれぞれの模様が浮かび上がる。大正と現代、同じ技法で摺られた唐紙が100年の時を超えておりなすその対比は美しく、なにか宿命のようなものさえ感じる。
 「襖一枚から学べることがたくさんある」という拓真さん。例えば、大正時代の襖は現代のものと比べて引き手が低い位置に取り付けられている。それは、きちんと座って襖を開け閉めしていたからで、そういった日本人の所作を古い襖から伺い知ることができるのだという。「襖だけでなくその向こうにある所作を大事にしたい……」拓真さんのその姿勢が作品に、そして今回の展示に生かされている。

 季節は初夏。安藤家の庭園「古翠園」にはツツジが美しく咲き乱れていた。特別公開の小蘭亭とともに100年の時を超えておりなす「ふすまのすがた」をご覧になってはいかがだろうか。

北国街道 安藤家「ふすまのすがた」展

会期  2014年4月13日(日)〜5月17日(土)
時間  10:00~17:00(会期中無休)
会場  湖国街道安藤家(滋賀県長浜市元浜町8-24)
料金 一般500円 / 中高大学生400円 / 小学生以下無料

お問い合わせ

長浜まちづくり株式会社 担当竹村
TEL: 0749-65-3935

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

編集部

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